掲載日 2023年4月17日
村を出て和菓子職人へ弟子入り。
修業後は大阪で独立して暮らす。
十津川村で生まれ、中学校まで村で育ちました。和菓子職人になったきっかけは、親方への弟子入り。新宮市で和菓子屋を営んでいた父の知人から、男の子の弟子が欲しいという依頼があり、中学校を卒業すると同時に弟子入りすることに決めました。その後15年間、親方のもとで和菓子作りの基礎から修業を積みました。
30歳の時に新宮市を離れ、大阪で独立。はじめは、和菓子作り専用の機械を製造する会社でお世話になりました。修業時代に使ったことがある機械だったので、修理の仕方までよく分かっていました。約3年後には、自分の和菓子店を開き、大阪で暮らすようになりました。大阪にいる間は勉強のために、いろいろな和菓子屋を見て回りました。
十津川の魅力が詰まった
おいしい和菓子を届けたい。
十津川村に戻ってきたのは、約20年前。卸しではなく、店舗を構えた和菓子屋を、村ではじめてオープンしました。今では、村唯一の和菓子屋として、皆さんに利用していただいています。大儲けはできませんが、私一人が暮らしていくには十分な規模。休みの日には鮎釣りに出かけるなど、地元でゆっくりと暮らしています。
まんじゅうからどらやき、カステラ、チーズケーキまで、店舗で販売するお菓子はすべて自分で作っています。中には「玉置山」や「小辺路」など十津川村の地名にちなんだ和菓子もあり、全部がおすすめです。「十津川温泉郷 三湯めぐり」は、十津川村の名産品である干しシイタケをあんこに練りこんだオリジナルのお菓子。ホテル昴など、村の旅館のお茶菓子としても使っていただいています。店舗で販売している商品の他にも、村のお祭りで使う餅や、法事で使うお菓子などの注文も受けています。毎年9月の彼岸から10月にかけてが一番忙しいですね。テレビの影響で十津川村を訪れた人が、買いに来てくれることも多いです。これから作ってみたいお菓子として、地元のよもぎをたっぷり使ったまんじゅうや温泉水を使った和菓子などを考案しています。十津川村の良さを伝えられるようなお菓子を、これからも作っていきたいです。
村人のツボ
店名の「福屋利久」は、家の屋号である「福屋」と、ご自身の本名(俊久)から名付けたそうです。
御菓子処 福屋利久は2023年12月末をもって営業を終了しました。