十津川村では、古来より、紀伊半島の急峻な山々の懐に包まれながら、
山に寄り添い、自然と共生する生活が営まれてきました。
我々はサスティナブルな資源である木材を循環利用していく「林業」という一次産業の再生を通じて、
この豊かな森林環境を維持していく決意です。
豊かな自然環境を守っていくことは我々「山の民」の責務です。
林業は、自然と真摯に向き合い、語り合い、高度な専門技術を要する誇り高い仕事です。
十津川村は、「秘境」と呼ばれるほど奥山に位置し、険しい山々のなかで林業再生にチャレンジしています。
そのため、山から木を切り出す作業はとてもハードで、決して経済的条件にも恵まれているとは言えません。
そのような中で、「境界の明確化」、「森林計画の策定」、「低コスト間伐」、
「先進的な林業機械の導入」、「壊れにくい道づくり」、「加工・流通による6次産業化」に取り組み、
日本の林業が直面する課題に果敢に挑戦しています。
96%が森林というまさしく「山しかない」我が村の飽くなきチャレンジは、
日本の奥山林業再生のモデルとなり、微力ながら我が国の林業再生にも貢献できるものと考えています。
林業用路網
林業機械化
現代の林業は、「林業機械」の導入と、機械が入り丸太を運搬する 「路網」との組み合わせによる、 効率化・低コスト化が不可欠です。
林業の機械化は、作業の効率化よる生産性の向上に寄与するだけではなく、危険を伴う山での作業の安全の確保にも繋がります。
十津川村では、村独自の支援を行うことで、林業機械化を加速化させています。
現代の機械化された林業において、豊かな森林資源を活用していくためには、作業道が不可欠です。
十津川村の急峻な地形に対応した独自の道づくりを研究し、実践しています。
災害に強い
運送コスト低減
作業の安全
十津川村は、急峻で降水量の多い地域であることから、「災害に強い路網」が必要です。
加えて、奥山という地理的不利を克服していくために、「運送の効率性」にも配慮する必要があるため、
大型トラック・重機が安全に走行可能な3m~3.5mの作業道の整備し、低コスト生産・運送システムの確立を進めています。
この作業道は、ジオテキスタイル工を用いた「補強盛土工法」を採用することにより、
これまで作業道開設が困難と考えてきた地域に安価に作業道開設を行うことができるようになりました。
十津川村の強みは、森林資源の潜在的な資源量です。
伐採された丸太は、製材、ラミナ、梱包、バイオマス発電など、様々な用途に使用されます。用途毎に必要とする丸太のサイズ、ランクは異なります。
十津川村では、間伐材は集荷したストックヤードにおいて、皆伐材は山土場において、販売先毎に仕分けを行い、需要先へ直送する取組を進めています。
併せて、原木流通に精通した若い人材の育成にも力を入れています。