移住者インタビュー

秘境で暮らすってなんだろう。
実際に十津川村に移住した方たちにお話を聞きました。

十津川村にやすらぎと交流の場を心に残る大切な一瞬を、
共有できる存在でありたい。

プロフィール

2019年秋、十津川村に移住した角田華子さん。現在は2023年11月にオープンしたカフェ「labo」運営のかたわら、村民だからこそできる観光ガイドや、タクシー運転手としても活躍しています。

掲載日 2024年5月2日

自分にしかできないことを求めて、定住を選択

2019年10月、インバウンドを案内する観光ガイドとして十津川村に移住しました。移住の決め手は、住む場所に求める条件がそろっていたから。それは、インターネットを快適に利用できることと、通販を不便なく楽しめることの2点です。初めて村を訪れた時、緑豊かでリラックスして過ごせる上に、この2点が両方とも都心と同様に整っていると知って、「最高の場所だ」と思いました。
移住後ほどなくしてコロナ禍に突入。「こんなときだからこそ海外に十津川村をPRしよう」と、ソーシャルメディアを使って情報を発信したり、オンライン商談会に参加したりしていたのですが、ガイドとしてのプロジェクトが打ち切りになってしまいました。そのため、2020年6月から十津川村の地域おこし協力隊に着任。2023年5月まで、十津川ブレンドコーヒーのプロデュースやワーケーションの推進、インバウンド支援などに取り組みました。
移住前の生活に戻るのではなく、地域おこし協力隊として定住するという選択をした理由の一つは、ガイドとしてより多くのチャンスとやりがいを得られる場所だと感じたからです。現地に住んでいる私だからこそ案内できる場所や伝えられる話があり、村を訪れた方により楽しいひとときを提供できると思いました。
もう一つは、十津川村に住む人や訪れる人にとって、過ごしやすい場所をつくりたいと考えたからです。そのために必要だと考えたのが、カフェ。私が十津川村に初めて足を踏み入れた時、最初に探したものでもあります。「ないならしょうがない」と諦めてしまっていたのですが、「それなら自分で作ればいい」と思い立ち、村の人々の協力も得て2023年11月に念願のカフェ「labo」をオープンしました。地域の皆さんが、週末にコーヒーを飲みにきてくれたり、家族でお昼ご飯を食べに来てくれたりと、村の憩いの場になっています。また、観光客と地域の方が交流している姿を見ると、「良い場所を作れた!」とうれしくなりますね。

誰もがゆっくり滞在したくなる場所を目指して

十津川村は大阪から約2~3時間で着ける場所ですが、なんとなく「遠い場所」だと感じている人も少なくないのではないでしょうか。慌ただしく一日で村を観光するのではなく、一泊・二泊と村に滞在し、いろいろな体験をゆっくりと堪能することで村の魅力に気づいてほしいですね。そこで、現在検討しているのがフィルムカメラ体験です。私も夫も写真を撮るのが大好き。観光客の皆さんとフィルムカメラを手に村内を散策して一枚一枚心を込めて写真を撮り、時間をかけて現像する体験を提供しようと考えています。一枚に思いを込めるというフィルムカメラならではの体験を通じて、いつ、どこで、誰が撮ったかを鮮明に思い出せる1枚の写真のような、忘れられない一瞬が生まれる経験を共有したいです。現像を待っている間には、カフェでコーヒーを飲んだり、温泉に入ったりと、村の魅力を味わってもらえたらと思います。
そして、それらの実践の軸となるのは、コミュニケーションだと考えています。提供して終わりではなく、楽しんでいただくだけでもなく、私自身も楽しむ。コミュニケーションを通して人を幸せにし、滞在がスタンダードとなるような活動をこれからも続けていきます。

動画撮影 令和5年12月